唐突ですが、医療機関におけるリアルな事情を書き連ねてみます。例によって地方に点在する病床数200床未満の病院がターゲットです。
1.現状を変えることを極端に拒絶する
俗にいう「停滞の思考」ってやつです。アカギで言うなら浦部。「いよいよもって変わるしかない」というギリギリまで粘り続ける。「変わらざるを得ない」と声が上がらなければ動きもしない。どんな組織にも一定数いるかと思いますが、医療業界は特に多いように感じます。なんなんでしょうね。
こういった人種が管理職上層に来てしまったらハイ改善のない組織の出来上がり。あとこういう層は「ガイドラインは法律じゃないから従わなくても良い」という思考回路をもってる人たちです。「ガイドライン通りは困難だが、極力順守するためにどうするか」という考え方はしてくれません。
打開策としては、何かしら断れなさそうな理由をつけて半ば強制的に変えることですか。保健所の年次立ち入り検査であえてこちらから「うちはこうでもしないと変わらないのでぜひとも指摘して下さい」とお願いするか、社会的な事情を利用する(例:ランサムウェア被害など)とか、病院機能評価を受審して根こそぎ変えさせるとか。
2.病院独自のルールを世間一般の常識と思っている
ある種閉鎖された空間に近い病院組織では、往々にして病院独自のルールが存在します。独自ルールがあること自体はさほど問題ではありません。厄介なのは独自ルールが一般世間にも当たり前に通用すると曲解していることです。
BtoB契約に無いことをさも当然のように協力会社に命令したり、院内の妙なルールをあたかも一般常識かのように部下後輩に指導していたり、あわや監査レベルの危ういことをやってるのに、転職組から指摘されたら激怒したり。
新卒からずっと病院組織だけで生きてきた人なんかがこうなる傾向にあるんでしょうか。数度の転職を経て入ってきた職員のほうが他の組織を見る機会があるので見識が優れていることも多いです。
3.経営層の考えが古臭い
昭和平成の成功体験を捨てきれず、妙な精神論を説いてきます。確かに大事な側面もあるでしょうが、働き方改革、Z世代、静かな退職、売り手市場、医療職の減少、こういった単語がひしめく現代情勢の中で、変えるべきところを変えずに精神論ぶっぱみたいなことをするのは逆効果だと思います。
順応する職員を見極めて管理職への踏み台として機能させたいのですか?でもほら見てください、現実は辞めていく人のほうが多いでしょう?仕事以外の部分でも奉仕してもらいたい、そのように仕向けたい。そういったオーラが隠せていませんよ?
クレバーに立ち回る経営層がいる病院は人も集まって今後も伸びるんだろうなぁ。
4.利便性思考
やっていいこと悪いことを考えずに便利な方向にオールインして運用開始、みたいな。
困るのは、上記1よろしく運用が定着すると変えたくない層が幅を利かせることに加えて、はなっから利便性オールインなため、正しい形に戻そうとする=利便性を削ぐ、という方向になってしまうこと。
新しいことを始める場合は、良し悪しについて説明できるストッパー担当を検討時点で組み込むことが肝要と思われる。だいたいそういうのって診療情報管理とか情報システム部門に多い気がする。前者は診療情報のエキスパートだし、後者はシステム牛耳ってるわけで、「システム上こうするしかありません」といった最終兵器的な軌道修正が可能で強い。
5.魔法の言葉「今まで問題なかった」
今まで問題なかったからなんですか?たまたまですよ。
そもそも何が悪いのってなんですか?何回説明しても理解しようとしないのに。
今まで立ち入り検査で何も言われていないからなんですか?まさか1から100まで見てると思ってます?
外様から指摘があった際、このセリフで自己防衛する上役の多いこと。問題ないと思っていたことが実は問題だらけだったなんてことはよくあるわけで、その可能性を視野に入れるべきだと思うんですよ。こういうこと言ってくる人は基本的に器が小さいのです。
さいごに
今回は医療機関あるあるとしていくつか紹介しました。すべての病院がこういうわけではありませんが、少数精鋭の無床クリニックや、人的体力豊富で基盤がしっかりしている大学病院なんかよりも、経営層の高齢化が進んでいる地方病院ほどこういった問題を抱えてそうです。医療機関特有の面倒臭さが少しでも伝わればと思います。しかしまぁ、わちゃわちゃ言い散らかすだけの上に比べたら、板挟みの現場中間管理職が一番大変なんじゃなかろうか。。。