様々な部品の小型化・量産化によって、小型デスクトップパソコンの値段低下が著しいです。
さてこの小型PC、業務用PCとして採用候補になり得るでしょうか。
ここでは各PCサイズにおける特徴とメリットデメリットを記載したいと思います。
PCサイズの種類
一般的には以下の3種類に分けることが出来ます。
- タワー型(大型)
- スモール型(中型)
- マイクロ型(小型)
このほかにも、モニタと本体が合体している「一体型」や、サーバー用の超大型サイズなども存在しますが、いずれも業務用としては適さないため除外します。
タワー型(大型)
昔ながらのパソコンサイズ、ゲーミングPCでよく見るサイズ、といえばなんとなく分かりやすいでしょうか。
このサイズのメリットは何といっても拡張性です。マザーボード基盤がそもそも大きく様々な拡張スロットを取り揃えている他、購入初期から使える接続ポートの種類、USBポートの数なども他と比較して多い傾向にあります。
半面、設置には場所を取ることがデメリットです。デスクトップだし移動しないから大丈夫、とは言ってられないサイズですので、机上に本体を置くような使い方は適しません。設置スペースが十分にある、机下配置が出来る等、スペース次第では候補に挙がる程度で、業務用途での積極的な採用はされない傾向にあります。
スモール型(中型)
俗にスモールフォームファクタ(SFF)、省スペースパソコン、等と呼ばれるサイズで、業務用途では事実上の標準サイズです。売れ筋なため直販型メーカーのカスタマイズも豊富にあります。一定の拡張性を担保しつつ、省スペース性を兼ね備えており、縦置き、横置きのどちらにも対応します。迷うならこのサイズを買っておけば間違いは無いです。
デメリットは中途半端な拡張性と、各部品へのアクセスのし辛さです。具体例としては、コンパクトであるが故にPCI-Express等の拡張スロットが他のスロットと干渉して使用出来ない、メモリ増設時にメモリが目視出来るまでの分解手順が難解(機種にもよる)、等でしょうか。特に医療機器はシリアル接続を要求されることがあり、拡張必須なPCを交換する際は注意が必要です。
マイクロ型(小型)
主題となるマイクロPCサイズです。マイクロフォームファクタ、小型PC(超小型PC)と呼ばれたりもします。DELL Optiplexマイクロのように薄さを重視するか、MINISFORUMのようにサイコロ感覚の小ささを目指すか、メーカー毎に小型の方向性が異なります。メリットは圧倒的な省スペース性です。デスク周りがごちゃつかず、業務スペースを広く確保することが出来ます。また大手の小型PCはモニタ裏に設置できるマウンタ(VESAマウンタ)が別売されており、更にスッキリします。
反面、ミニPCはデメリットも多く存在します。
ミニPCのデメリット
- 同性能であれば中型(スモール型)のほうが低価格
- 拡張性皆無な上、エアフローが優れず経年故障しがち
- モニタマウント時、電源に手が伸ばしづらい
- 電源ケーブルがアダプタ式であり、アダプタ形状はメーカー次第
- 基本的にドライブレス機
上記のデメリットのうち、個人的には「アダプタ式電源」に代わってしまう点に不安を感じます。一般的な電源ケーブルは、コンセント形状が2つ口・3つ口とあれど、いずれもシンプルであるが故にほぼ壊れません。またPC・ディスプレイ・レーザープリンタあたりの電源ケーブルは基本的に余るもので、規格も同じなため使いまわしや予備確保には基本的に困らないものです。それを小型にした途端にアダプタ式であることが仇となります。
アダプタ式電源のデメリット
- 管理上、予備確保が困難(壊れる頃にはメーカー生産終了しており在庫も無い)
- アダプタ式かつ細い線なため、そもそも壊れやすい
- アダプタ部分の形状次第では、今までの電源ケーブルを繋いでいたタップに接続できないことがある
タイプとなると、予備確保が困難で、線の細さなども相まって寿命が短そうです。またアダプタ故障時にメーカーの交換品供給が終了していた場合、止む無く本体交換ともなりかねません。
まとめ 業務用小型PCは検討に値するか?
特定の部署に対して一定の需要はありそうだと感じるものの、現状としては早々に選択することは無さそうです。
拡張性皆無、ドライブレスについては医療機関にとってはさして問題にならないと思いますが、鬼門はやはり価格でしょうか。小型が安くなったとはいえ、対抗馬であるスモール型が性能・価格で勝るため、省スペース性にそれ以上の何かを見いだせるなら採用の余地ありといったところです。
ただ、機器管理する情シス側の視点では「電源ケーブルの規格が変わる」これが何より面倒くさい。機器管理や定期交換ですらとんでもなく力を割いているのに、金かけてまで悩みの種を増やしたくない。これに尽きます。
ただ、リースやレンタル契約を結んで、5年毎に端末交換できる体制を組める組織であれば上記問題は払拭されるため検討予知はあります。故障時対応も含めて契約すれば手間も減り、他の情シス業務にマンパワーを割けるようになるでしょう。